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何のための弁護士の懲戒請求制度か

なぜ弁護士の懲戒請求制度はあるのか。しかもそれをなぜ国民一般に広げているのか。

それは、弁護士の活動が、弁護士の世界でのみ成立するような常識から乖離した活動にならないようにすべく、広く国民の意見を聞くためだと考えられる。

では、なぜ請求者に請求の論拠を求めるのか。この論拠というのが、確固たる証拠またはそう信ずるに足るもの、と解釈するならば、そもそもそうした証拠を入手しようのない国民が請求を行うことができるはずもなく、制度の本旨に反する。

ゆえに、この項目は、弁護士活動に対するものではない、ただの嫌がらせとか個人的嫌悪とかによる請求を排除する目的で設置されていると解すのが妥当であろう。実際、根拠なき請求を違法とした07年4月の最高裁判決も、弁護士への嫌がらせ目的の請求に対してなされたものである。

したがって、国民が請求をする際には、その弁護士の活動を新聞やテレビ等で調べ、それが妥当性を欠くと判断する程度で許容されるべきだろう。むしろ、そうやって請求がなされることで、弁護士会がきちんとした調査を行い、活動が妥当か否か、が判断され、情報が開示されることで国民の納得を求める、というのが制度の本旨を尊重した制度解釈だと思われる。

「弁護士は少数派の権利を守るのだから、多数の圧力に屈してはいけない」というのも、多数派の意見を「すべて」聞く必要はないが、多数から不満があるのならば速やかに調査を行い、弁護活動が妥当だと判断されるならば、それを証拠をもって国民に示すべき、と解釈すべきだろう。弁護士会が都合のいい懲戒請求しか聞き入れないのだとすれば、何のための制度だがわからない。

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