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航空幕僚長の更迭について

「日本が侵略国家だというのは濡れ衣だ」と論文で書いた航空幕僚長が更迭されたらしい。(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081031-00000134-mai-pol

だけど、これって問題なのか?

とりあえず、日本の行為が侵略か否かはここでは論じない。ここでの問題は、政府の考え方と異なる考え方をする人間が航空幕僚長にいてはいけないのかという話に収斂する。

で、これについて言えば、「職務に自己の思想を反映させないならば別に問題ない」といえよう。もし政府が韓国との交渉を幕僚長に命じた際に「韓国は低俗な国家だから交渉など嫌だ」といって職務を拒否した場合には、もちろん幕僚長を更迭するのは当然だろう。だが、幕僚長が職務はきちんとこなしている限り、思想のみを論拠に更迭するのは妥当ではないだろう。むしろ妥当だというならば、マッカーシズムは称賛すべき行為だということになるだろう。

もちろん政府の中心の考えにぴったり合わない人は全部消していくという方針をとっても、法律上は問題ない(首相に全権限がある)。だけど、じゃあ「お友達内閣」を批判してたのはどこのどいつだよ、という話になるだろう。

もし、政府の対外活動において、政府の方針と反対の人間がいると邪魔だから、政府に認められている権限内で反対意見は抹消しておく、という論拠を立てるなら、当然政府が戦争を行う際に「国民が反戦運動を行うことを弾圧する法案」を提出して合法的に言論弾圧するのは非常に妥当な行為であることも認めるのだろうね。政府にとって反対派がいた方が戦争がやりずらいのはいうまでもないのだから。逆にこうしたことを認めたくないならば、政府内部に政府の方針と真っ向から対立する人間がいることをも認められるぐらいの寛容さは持ち合わせねばいけないだろう。

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