子供の被害を楯に取る欺瞞(フィリピン人親子の強制退去について)
「強制退去のフィリピン人親子 入管、滞在期限を延長」
強制退去処分を受けた日本生まれのフィリピン人、カルデロン・のり子さん(13)=埼玉県蕨市立第一中学校1年=の家族が在留特別許可を求めている問題で、3人の滞在を一時的に認めた仮放免期限の14日、父アランさん(36)と母サラさん(38)が東京入国管理局に出頭した。東京入管は3人の滞在期限を2月13日まで延長することを伝えた。(NIKKEI NET)
子供がかわいそうであるというのが弁護する側の論拠らしいが、子供がかわいそうであるというのが事実であるとしても、その原因を作ったのは不法入国した両親であるのは明らかであろう。
今強制退去させて子供がかわいそうになったとしても、その原因は強制退去させた側にあるわけではない。
子供がかわいそうであると思う人は、両親の無責任な行動を強く非難するのが普通の行動であり、両親と一緒に強制退去をやめるよう嘆願するというのは理解不能な行動だ。
相手の行動が無実の第三者に被害が出るという状況であったとしても、そういう状況を作り出した側に責任があるのはいうまでもないのであって、無実の第三者に被害が出ることを楯にとって原因を作り出した側が自分勝手な要求を通そうとするのは、人質が死ぬから身代金をよこせというハイジャック犯と同じ論理だ。助かりたい人質と、金目当てであり殺人など別にしたいわけでもないハイジャック犯は目的は一致するが、だからといってハイジャック犯が金を得るのが正しいことになるわけがないのと同じで、子供を助けたいからといって両親の不法入国を正当化する(ないし眼をつぶる)のは欺瞞的である。
そしてとりあえず、子供がかわいそうだという人は「その子が大人になって自立した段階で親を強制退去させる」という提案には賛成するのだろうな。だって親を強制退去させない唯一の論拠は子供なのだから。時間はたっぷりあるのだから、強制退去後の経済的な問題の準備もきちんとできるし、彼らが反対する理由はない。
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