国歌斉唱問題
上田清司知事は1日の県議会で、08年度の県立学校の卒業式で国歌斉唱時に起立しなかった教員について「式典のルールに従って模範を示さなければならない」とした上で、「日本の国旗が嫌いだとか、国歌が嫌いだというような教員はやめるしかないんじゃないか」と批判。(中略)
埼玉県高等学校教職員組合の関根達男書記長は「思想信条の押し付けと取られかねない。好き嫌いの問題ではない。不適当であり、撤回すべきだ」と話している。(毎日jp)
また時事通信だと
これに対し、共産党県議団は「思想と良心の自由を定めた憲法19条の規定をないがしろにするもので、700万県民の代表にふさわしくない危険な発言だ」とし、撤回を求める談話を団長名で発表した。(時事通信)
とりあえず批判者に聞きたいのは、じゃあ憲法は強制労働禁じてるから、すべての雇用契約は無効になるんですか、って。
もちろん一般的な全国民に国歌斉唱を強制したら問題かもしれんが、ここで問題になってるのは「自発的に」教師という職を選んで契約を結んだ人であり、小中学校を出てる人ならば、教師は式典に出席し、国歌斉唱を行うことも職務に含まれていることは知っているはずである。
そもそも契約というものは、契約者同士に行為の強制を行う、つまり双方の自由を制約し合うことで互いに利益を得るものである。だから給料欲しければ仕事しろとなるし、逆に仕事がいやなら給料はもらえなくなる。何らかの形で(例えば思想良心の自由を侵害する契約は無効とか)契約を無効化しても、それはすなわち雇用契約そのものが白紙になるんだから、やっぱりクビになるのと同じ。というか本当に自己の思想良心の問題であるのならば、自分の思想に反するような職場なんてさっさとおさらばしたいはずだし、だから辞めて当人も満足なはずだと思うんだが。
今回のケースなら、教師が契約した職務を遂行しないわけだから、契約破棄=教師を辞める、という風になるのは自然であろう。
というか常識的に考えて、一方は契約内容を履行しない(国歌斉唱をしない)のに、他方にのみ契約内容の履行を強制できる(給料を払わせて現在の地位を維持させる)などという虫のいい話があるわけないに決まっているのだが。
| 固定リンク
「時事評論」カテゴリの記事
- 憲法九条、立憲主義、そして憲法学(2015.09.17)
- なぜ研究者は小保方さんに厳しいのか(2014.07.25)
- 差別論の構造~人工知能学会誌の表紙問題(2013.12.30)
- 麻生ナチス発言はどう解釈すべきか(2013.08.04)
- 朝鮮学校無償化の問題と「教育を受ける権利」の保障(2013.02.23)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント