オバマは国際協調主義なのか?
オバマ大統領が単独行動主義を批判して国際協調主義へのシフトを演説したらしい。
ただ、このニュースによると
オバマ大統領は、ブッシュ前政権の外交政策が国連を軽視した単独行動主義的であったと批判する一方、現在の米国の外交政策が国連を重視する国際協調主義 に変わったことを強調。米国一国だけでは問題を解決することができないことを指摘しながら、地球規模の課題への各国の責任分担を求めた。
確かにこれは単独行動主義ではないのだろうが、かといって国際協調主義なのかと言われると疑問が残る。
なぜならこの言い方だと、これまではアメリカしか行動せず実行力がなかった点を踏まえて、他国にも行動せよと求めているだけになってしまうからである。国際協調の根幹は「世界各国による話し合いによる決定」であり、義務とか決定とかの話は二次的なもののはずである。だがオバマ演説では義務が真っ先に取り上
げられてしまっている。
「決定」のプロセスが軽視されているのは、オバマが演説で
われわれは、責任を果たしていないと認める必要がある。現実に立ち向かえないときを考えてみるがよい。過激派は世界各地にテロの芽をまく。長引く紛争は永遠に続く。大きな課題に対する行動はまだ伴われていない。
や
未来の基礎となる4本の柱は核不拡散・軍縮、平和構築、環境保護、経済の回復だ。核不拡散でいえば、北朝鮮やイランが国際規範を無視するなら、国際社会は一致して、国際法が空虚な口約束ではないことを示さなければならない。
民主主義とは、外部から押しつけられるようなものではない。米国はしばしば、民主主義の提唱にこだわりすぎる。しかし、米国はいかなるときも、人々が自 らの運命を決める権利を守ろうと務める。(以上http://headlines.yahoo.co.jp /hl?a=20090924-00000507-san-int)
のように、「国際社会が何をすべきか」の決定がなぜか先行して行われてしまっている点に現れているように思える。もちろん演説だから自国の主張をしている のだという見方もできるが、しかし演説で「国際的な話し合い」について一言も言及されていないのは不自然な気がしてならないのは僕だけだろうか。
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