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「ハブ空港」をめぐる誤解

前原が羽田のハブ空港化を発言して波紋を呼んでいるが、どうもそもそもの語の意味が混乱しているように見えてならない。

「ハブ空港」というのは本来的には「ある地域内の航空網の乗り継ぎのための中継空港」ということである。例えば、アメリカで全部の空港に直行便を飛ばすわ けにもいかないので、シカゴをハブ空港にし、ボストンからシアトルに行きたいと思ったら、「ボストンーシカゴーシアトル」のようにシカゴを経由して飛ぶ。 その地域内の行き来は基本的にハブ空港経由で行うことになる。

一方、「ゲートウェイ空港」というのは「外からある地域に来た人を、その地域内の各地に送り出すための中継空港」を指す。例えば成田が東アジアへのゲート ウェイ空港だと言った場合には、アメリカから上海に旅行しようと思った人は、いったんアメリカから成田に行って、成田から上海への飛行機に乗り換える。ただし、この意味で「ハブ空港」が用いられることもあるようである。

さて、毎日新聞の社説を見てみると

羽田空港をハブ空港とする方針を前原誠司国土交通相が打ち出した。羽田を国内線だけでなく国際線についても拠点とし、東アジアの航空輸送の要にすることをめざすという。

恐らく前原が言いたいのは「東アジアのゲートウェイ空港」の意味での「羽田のハブ空港化」だろう。ところが、社説では以下のように続いている。

利便性に勝る羽田のハブ空港化は、利用者の立場からは大歓迎だろう。

そして

しかし、羽田のハブ空港化はそう簡単ではない。4本目の滑走路が完成すると、年間の発着回数は30万回から41万回に増える。3万回としていた国際線に 割 り当てる発着枠を積み増すことになるのだろうが、首都圏の今後の航空需要を満たすには、現在進められている羽田と成田の拡張でも不十分とみられている。成田が不要となるわけではないのだ。

すでに書いたように、ハブ空港(ゲートウェイ空港の意味でも)は「中継空港」なのであり、その場所に来ることを目的としているわけではない以上、ハブ空港 が首都圏から近かろうが遠かろうが関係ない。そもそもハブ空港化は首都圏の人を飛行機に乗りやすくするためにやっているのではないのだから。
おそらくこの社説の書き手は、「ハブ空港」を「その地域に来る/その地域から出ていく人のためのメインの空港」という意味だと誤解しているのだろう。こうした誤解をしているのは

関西におけるハブ空港の役割は、かつては大阪空港が果たしていた。しかし、関空、大阪、神戸の3空港体制になり、崩れてしまった。

という記述にも表れている。まさか大阪空港から他の関西の空港に飛行機が飛ぶはずがないのだから、ここの「ハブ空港」は「関西に遊びに来る人が使う空港」の意味で使っているのだと思われる。
だが、そんなことを前原は言っているのではないし、だから社説の後半がまったく本論とつながらなくなっている。

なお、毎日新聞のためにフォローしておくと、こうした誤解はここまで大きくないにしても他の新聞社もやっている。例えば読売新聞の社説 では

利便性を考えても、都心に近い羽田の拠点空港化は当然の選択だ。

と、やはり「ハブ(拠点)空港」を「首都圏の人が乗る空港」と解釈している。

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