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スパコンへの出資と費用対効果の問題

スパコン開発への出資が実質止められた件で、このニュースで触れているわけではないが、いわゆる「費用対効果」の問題を論じている人が多いので少しコメントしておく。



とりあえず、経済学者が「費用対効果」を論拠に出資停止を擁護するような傾向にある気がした。だが経済学的に言うならば研究・開発コストはサンクコストであり、生産コスト:便益の対比である費用対効果の問題とは違う。むしろ開発費はサンクコストとなってしまうあたり、開発費を経済学で取り扱う限界であると もいえる。

また、開発というのがそもそも「プロセスの発見」、すなわち「費用を投じて活動(生産)を行うことで成果(製品)を出す」というこの一連の流れを見つけ出す作業であるがゆえに、「成果が見えない」というのは根本的に開発というものの性質を見誤っている。「費用対効果の見合うものを」というのは、どのプロセスなら一定費用でどれだけの成果を上げれるか、というのがすべてわかっている前提で初めて成り立つ話だが、研究・開発というのはこのプロセスが未知であることを前提としているのである。


あとこのスパコンの件での細かい批判について。

・もっと安価に同一性能のスパコンを作れる

なるほど。だがそれなら目的を否定せずただ手段変更の提言をすればいい。今回の行政刷新会議で出された結論は目的の方の否定である。

・今のままプロジェクトを進めても世界一にならない

上に同じ。方法変更を提言すべきで、プロジェクトを中止するのは違う。

・出来るスパコンはビジネス的には使い物にならない

ビジネスにならないから国が出資しているのであって、むしろそれが国の役目。

・世界一にこだわる必要はない

ある。世界一というと響きが微妙だが、「すでに存在するスパコンよりより性能のいいものを作る」といえば当たり前の話になる。誰がすでにあるスパコンより性能の悪いものを開発するというのか。

・一瞬の世界一に意味はあるのか

一瞬でも世界一にならなきゃ技術はいつまでたっても更新されないのだから、一瞬でもいいから、要は今の技術を上回るものを作る必要があるのである。
あと、「世界一を目指す」のと「世界一になる」のとは違う。仮に実際には抜かれてしまい世界一ではなくなるにしても、目標は絶対「今あるものよりいいもの」でなければならないに決まっているではないか。

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コメント

たいへん残念ながら、予算は、無尽蔵には有りません。
そして、少子化対策や福祉などと違って、スパコンなどは、民間に任せても良いものなのです。

もし、費用対効果の良くない無駄な研究が、どうしても必要とお考えなら、貴方が出資されたら如何でしょうか?

私(達)の税金に期待しないで下さい。
迷惑です。

投稿: ポポイ | 2011年11月19日 (土) 21時59分

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