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障害者を巡る竹原信一阿久根市長のブログについて

阿久根市長のブログでの発言が波紋を呼んでいる。(asahi.com

 

問題となった市長のブログは下記。

医師不足の原因は医師会(11/8)

医師不足が全国的な問題になっている。特に勤務医の不足は深刻だ。

医師が金儲けに走っている為だが、この体質を後押ししてきたのが医師会だった。

(中略)

勤務医師不足を解消する為に勤務医の給料を現在の1500万円程度から開業医(2500万円程度)に近づけるべきなどとの議論が出てきている。

しかしこんな事では問題は解決しない。医者業界の金持ちが増えるだけのこと。

 

医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全ての医者に最高度の技術を求める必要はない。できてもいない。例えば昔、出産は産婆の仕事。高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。

「生まれる事は喜びで、死は忌むべき事」というのは間違いだ。個人的な欲でデタラメをするのはもっての外だが、センチメンタリズムで社会を作る責任を果たすことはできない。

社会は志を掲げ、意志を持って悲しみを引き受けなければならない。未来を作るために。

 

 

 

市長擁護派は部分だけ取り出して批判するのはおかしい、きちんとコンテクストを踏まえろ、という感じの主張をしているようだが、はっきり言ってそもそも市長のブログのコンテクストがよくわからないのだが。

 

タイトルおよび前半部分の主張は「医師不足の原因は金もうけに走る医師会にある。医師の給料を挙げても医師不足は解決しない」ということで、これは主張内容自体は理解できる。

後半、「医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全ての医者に最高度の技術を求める必要はない。」と来る。医師が増えれば医師不足が解決するというのは自明な同義反復だろという突っ込みは置いておくが、次の文とつなげて考えて、「現状の少数の優秀な医師を養成する制度を変えて、多数の標準レベルの医師を養成するような制度にすべきである」と解釈すべきであろう。ここまではいい。

だが、これに続けて「できてもいない。例えば昔、出産は産婆の仕事。高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果  擁護施設に行く子供が増えてしまった。」となっている。「できてもいない」のだから、現状でも優秀でない医師がいるということである。「例えば昔、出産 は産婆の仕事。」の「例えば」は「優秀でない医師の例」のはずだから、要するに市長は「産婆のような腕の低い医師でも昔は医療業務(出産)に携わってい た」と言いたいのだろう。(だが昔の話を例にとって一体どうするんだ)そして問題となった「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持った のを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。」という部分があるのだが、正直この文章は今までの内容と全くつながらない。「現在は出産も優秀な医師が行っている」という内容は一応前の文と接続はするが、で何が言いたいのかよくわからない。「標準レベルの医師が出産に携わるべきで、それで出産時死んでしまう赤ちゃんはそれで仕方がない」というのはおそらく市長の念頭にあるのだろうが、どう読んでも違うことが含意されている。

含意されているのは「養護施設に行くような子供は出産段階で死んでも構わないし、その方が医療財政的には他の人を救う余剰が出来るので望ましい」という価値 判断である。この考え方自体は政治の冷たい計算の必要性を踏まえれば(支持するかは別として)議論以前に排除されるべきものではないと思うが、「他の医療 に金を回すためになら、障害者は出産時に死んでも構わない」と言っているのは事実である。というか「障害者に死ねというのか」と反発されて、市長擁護派が 慌てふためいて「そんなことは言ってない。ちゃんと読め」というのは明らか及び腰で、「そうだ、他の人を救うためになら障害者に死んでもらう必要性が出てくる場合もある」となぜに正面から主張できないのだろうか。

でまあ、どちらにせよコンテクストが分裂しているのは事実なんだけど。

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コメント

マスコミは障害者差別だって言っていますが、
そこだけ取り出すと、ただの死生観の違いじゃないですかね。少なくとも騒いでいるマスコミはひとつの死生観、価値観を押し付けている気がします。

投稿: なつ | 2009年12月15日 (火) 02時40分

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