沖縄の密約と戦略性
沖縄核持ち込みの密約の調査を国が進めているらしい(朝日新聞 )が、まあ密約があるのはアメリカで公開されて以来周知の事実なので、重要なのは国が認めるという形式面にあるのだろう。
けど重要なのは密約だろうがなんだろうが2国間の取り決めである以上相手がいるわけであり、しかも「密」なのはあくまでも日本国内向けの問題だということである。「密約がありました。公開します」は いいとして、「これからは密約は明らかにされた条約ということにして進めます」とやるのならいいのだが、「密約だったから撤回します」ってのは国内向けにはいいけれども対外的には通る理由ではない。撤回したいなら相手国と事前に交渉して撤回させてから公開するか、少なくとも撤回させる筋道や戦略を立ててからやるべきだと思うのだが、どうもそんなことはしていないようである。「国内を意識した外交」ってこうなっちゃうとどうしようもない気しかしない。一言で言うと「戦略性ないな」
さて、密約と言うともうひとつ、沖縄密約と機密漏洩事件がある。こっちも最近話が進んでいるよう。この事件については、密約内容の是非と情報の入手方法の是非は全く別問題だと思うが、ということは裏を返せば、密約が妥当性を欠くものであってもだからといって記者の情報の入手方法は肯定されない、ということでもある。「情報目当てに既婚の事務官に近づき酒を飲ませた上で性交渉を結んだ」(ウィキペディア )って情報の公共性云々以前にどう考えてもまずいだろうし、逆にこれが常套的な情報の入手方法だったらマスメディア怖いなと思う。少なくとも情報の入手方法に関して規定した国家公務員法に引っかかるのは致し方がないんじゃないのかな。
あと情報の重大性云々だけど、国家間で動く額として400万ドルって甚大なのかが個人的にはよくわからない。とりあえず今の思いやり予算って2000億円近くなることを思うとね。400万ドル日本からアメリカに動いたからと言って誰かが死ぬとか誰かの人権が侵害されるとかそういう話じゃないんだとすると緊急性もないわけで、法規を超越した倫理性とかが出現するともそうそう思えないし。
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