「休学」という流行現象
なんとなくだが、俗にいうアクティブな学生、行動力のある学生が、1年ないし半年大学を休学して何かしようとする傾向が強まっているように思う。それに関 して自分としては「明確な大目標があって、それの実現のためには休学しかないんだったら休学した方がいい。けどそういう大目標がないならやめた方がいい」 と考えている。
とりあえず休学したい、という心情は、単に「現在の授業等の忙しさに追われる日々から脱したい」という感情に基いている可能性がある。だが少し考えてみれ ばわかるように、別に休学したからといって「授業に追われる忙しい日々」が消滅したのではなく、ただそれが時間的に後ろにずれただけなのだから、これは単なる「嫌なものの先送り」にすぎない。
また、あれもこれもやりたいことはいっぱいある、だから休学していろいろやろう、と考える人もいるだろう。だがこれは多くの場合、やりたいことの優先順位付けに失敗しているだけであるように思われる。時間が無限にあるとしたら、人はやりたいことなど山のように持っているだろう。だが、だからといってそのや りたいことすべてを成し遂げようとはしない。やりたいことに優先順位をつけて、限られた時間をやりくりしながら優先順位の高いものを実行していくのであ る。だから、「やりたいことがいっぱいあるから」というのは実はそんなに強い理由にはならない。
上の話ともつながるが、「何かしたいことがあるわけではないが休学/やりたいことは休学してから考える」というタイプもいるだろう。これは手段と目的が転倒している。休学というのは本来何かを達成するための手段として採用されるべきものであって、それ自体は目的ではない。近年「起業」についても同様の傾向
(何かを成し遂げるためには起業するしかないから起業、ではなく、やりたいことがあるわけではないがただカッコ良さそうだから起業、という風潮)がみられ
るが、「休学」もそれ自体を「行動力の証拠」のように捉えて、それを目的化させてしまってはいけない。
そしてとりあえず休学してみたらなにをしようか、と考えると、上に述べたように「やりたいことはいっぱいある」と思えてきてしまう。確かに「休学したらいろいろ出来る」は真だが、これは最初に手段と目的が取り違えられてしまっているので、全体として「何のための休学か」というのが捻じれた形でしか出てこな
い。
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