では、日本はどのような環境対策を行うべきだろうか。
日本は、資源も地理的条件も環境対策に適しているとは到底いえない。つまり、風力発電を行ったり、排出量を目に見える形で減らしたりするような「まさしく環境対策やってます」といった雰囲気の環境対策を行うのに、日本は適していない。代わりに日本が持っている強さは、その技術力である。したがって、その高い技術力を軸にした地球規模の環境対策を、日本は展開すべきである。
その具体的方策として、以下の三点を提言する。
第一に、世界の国々の環境対策レベルを、日本の水準まで引き上げるよう、技術協力をすべきである。
すでに記したように、日本の環境対策の技術レベルは、他の先進国と比較しても高い。このことは、他国を日本の技術レベルに引き上げるだけで、相当な環境対策として機能することを意味している。
第二に、日本は原子力発電を推進するべきである。原子力発電は高度な技術力を要求する発電であるため、日本の特徴にあった発電方式だといえる。
しかし、原子力発電には批判も多い。批判は大別すれば「クリーンではない」「ウランは枯渇する」「危ない」の3点にあるといっていいだろう。以下順に見ていく。
まず、「クリーンではない」という批判は余り意味をなさない。なぜなら、地球にとっては最適な温度や状態などというものが存在しない以上、地球にとって「クリーン」というのは意味を成さないからである。これを人間にとって「クリーン」と解釈してよいならば、これは純粋に技術的な問題へと還元されるので、十分に解決可能である。
次に、「ウランは枯渇する」という批判だが、ウランはIAEA等の調査によると、200年以上は枯渇しない(http://www.world-nuclear.org/info/inf75.html参照)。
また、原子力発電は「危ない」と言われるが、過去の原子力事故は、ほぼすべて人為的な要因でおきている。純粋に技術的な意味でのリスクは、無視できる程度のものでしかない。そのため、原子力に関わる人間の教育の徹底と、優秀な人材の確保が必要だと考えられる。ところが、それを妨げているのが「原子力=悪玉」論である。こうした論がはびこることによって、原子力にたずさわろうとする優秀な技術者が減っている。
そこで、日本がすべきことは、原子力への悪評を正して、原子力に携わる優秀な人材を確保し、きちんとした教育を行うようにすることである。
第三に、超伝導ネットワークの開発である。高温超伝導体によるケーブルで世界各地をつなぐことが出来るならば、最適な場所で最適な発電を行うことが出来る。例えば、都市部から離れているが風は強い地域に風力発電所を大量に設置すれば、エネルギーロスなくして全世界に大量の電力が供給できる。また砂漠は昼と夜で大きな温度差があるが、この温度差を生かした発電所を大量に設ければ、やはり大量の電力を得られる。
これまでは、電力送信時のエネルギーロスの問題があったため、発電所を最適な場に設置することが出来なかったが、高温超伝導ネットワークが構築されれば、最適な場所で最適な発電を行うことが出来る。
日本のすべきこととしては、高温超伝導ネットワークの開発をするとともに、最適な場所で最大効率の発電を行えるように発電設備を開発し技術協力していくことだろう。
国の枠組みに固執して国内での削減にこだわるのではなく、このように技術開発、技術協力を地球規模で展開していくことこそが、日本の行うべき環境対策の基本方針である。
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