ネット・メディア・非日常性
ネット社会の今日においては、「ニュースは新聞なんかよりネットの方がはるかに信用できる」等々の発言がなされることも多い。確かにもはやネットのどこにも載っていない情報というのは皆無に等しくなりつつあるし、情報の新しさや量という意味ではネットは既存のメディアをはるかに凌駕しているのは論を俟たない。
だが、そもそも「新聞」と「ネット」という比較自体、異なるカテゴリーのものを比較してしまっている。ネットというのは新聞とは違いメディア(媒体)ではなく、一つの「場」だと捉えた方がいいからだ。「ネットのどこかにその情報が落ちている」というのは「町のどこかには欲しいものが落ちている」というようなものであり、それと情報を限定している新聞とを比較するのはそもそも間違っている。新聞やテレビがメディア(媒体)として機能するのは、そこにおいて情報の取捨選択が行われ厳選されたもののみが伝達されるからであり、あらゆる情報が無差別にアップされていくネットは、その意味で情報の取捨選択前のデータ群の山に向き合わされるようなものである。
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